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直立歩行をする人間にとって腰痛は宿命みたいなものです。何しろ全体重の約6割を腰が支えているのですから痛めやすいのも当然と言えます。また一番負担のかかる腰椎(ようつい)は、ろっ骨の支えがある胸椎などと違って腹筋と背筋で前後から支えられているだけです。腹筋・背筋力の衰えとともに腰痛になる可能性はどうしても高くなるのです。
腰痛には、原因が特定できるものもありますが、8割以上が、特に異常が見つからない腰痛症で、30〜40代で始まり、50歳を超えると目立ってきます。特定できる腰痛は背骨の変性によるもの(椎間板ヘルニアなど)、骨粗しょう症が原因となるもの、がんが転移した腫瘍(しゅよう)性のものなどがあります。
また、解離性腹部大動脈瘤(りゅう)や尿路結石がある場合でも腰痛が起こります。最近は、糖尿病が原因で背骨に細菌感染を起こして腰痛を起こす例もみられるようです。
腰痛症の治療は、痛みを和らげる保存的治療が基本となります。消炎鎮痛薬の使用、赤外線や低周波などで患部を温める温熱療法、腰の周囲の筋肉を強くする運動療法などの処置がとられます。
とくに、自ら行う運動療法は有効性が広く認められています。
運動療法のポイントは、まず腰の周りの硬くなった筋肉や靭帯(じんたい)などを伸ばして柔らかくするストレッチングをすることです。腰を支えている腹筋・背筋を強くする筋力トレーニングも効果があります。ただし、痛みのない範囲で徐々に行うことが大切です。
腰痛は心理的な影響を大きく受けます。治療をされる、といった受け身の患者さんは治療成績が劣る傾向にあります。元の状態に早く戻るように自らが努力することが重要です。
腰痛症の原因は特定できないだけに、厳密な意味でそれを完璧に予防する方法はないでしょうが、身体的・精神的ストレスをなるべく減らすことが最大の予防策になることは間違いないと思います。
*腰椎:背骨は上から頚(けい)椎、胸椎、腰椎、仙骨・尾骨と呼ばれ、全部で26個あります。骨と骨の間はクッションの役目を果たす椎間軟骨が挟まっていて、つなぎ目を靭帯がしっかりと固定しています。腰椎は5個あり上体を曲げるとき、一番負担がかかります。腰痛の訴えで最も多いのが第4、第5腰椎とその周辺です。
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