インターバル速歩のおすすめ (院長)
インターバル速歩とは「さっさか歩き」と「ゆっくり歩き」を数分間ずつ交互に繰り返すウォーキング法です。近年、海外でもJapanese Walking(日本式歩き方)として話題になっています。インターバル速歩は「誰でもどこでも簡単に継続できる運動」として考案されたもので、日々の健康維持に有用と考えられますのでご紹介します。
Ⅰ.インターバル速歩のやり方
「ゆっくり歩き」と「さっさか歩き(早歩き)」を数分間ずつ交互にくり返す。早歩き(速歩)は、少し息がはずむものの会話ができる程度の歩き方です。
*基本の方法(プロトコル)
1日に「3分間の早歩き」と「3分間のゆっくり歩き」を交互に、合計約30分間実施(目安5セット)。週4日以上、5か月以上が推奨。
*アレンジした方法:筋力や体力に合わせて、早歩きの時間や時期を調節可能
例 ①ゆっくり2分、速歩2分(計4分)を3~4回:12~16分
②ゆっくり3分、速歩3分を1日かけて5回行う
Ⅱ.インターバル速歩の始まり
1997年に長野県松本市で「中高年のための健康スポーツ教室」事業として、「1日1万歩のウォーキング」プログラムが開始されました。
結果:①1年間で1日1万歩を継続できた人は全体の30%。②生活習慣病の予防・改善効果はあった。③体力の向上は認められなかった。
インターバル速歩は信州大学能勢博先生によって提唱された方法で、『各個人の筋力や体力に合った適度な強さで』『誰でもどこでも簡単に継続できる』運動です(資料1,2)。
Ⅲ.インターバル速歩の効果
インターバル刺激で有酸素能力と下肢筋を効率よく刺激します。
①体力・脚力の向上:早歩き区間で大腿・下腿をしっかり刺激。
筋力が10% 向上(10歳若返る)、持久力が最大20%向上
②生活習慣病の減少:高血圧、高血糖、肥満
③関節痛の改善:膝関節痛の症状が50%の人で改善
④睡眠の質の改善:睡眠効率(睡眠時間/寝床)が改善
⑤気分障害の改善:うつ指標の値が50%改善
⑥認知機能の改善:とくに軽度認知障害で有効
⑦ダイエット効果:通常歩行より消費を見込みやすく、脂肪燃焼を後押し。
Ⅳ.通常ウォーキングやジョギングとの違い
・通常ウォーキング:低強度で安全だが刺激が単調 → 効果実感まで時間。
・ジョギング:高強度でカロリー消費は大きいが、膝・腰の負担が増える。
・インターバル速歩(Japanese Walking):インターバルで効率よく刺激しつつ、関節負担は比較的低い。日常生活に取り入れやすく、散歩や買い物、通勤時などにも実施可能。
まとめ
インターバル速歩は日常生活に取り入れやすく、また各個人の筋力や体力に合った適度な強さで行えます。通常歩行との効果の違いは、体力・脚力(筋力・持久力)の向上が得られることです。考案者の能勢博先生の著書では『10歳若返る』と書いてあり、試みてみる価値はあるかと感じています。
資料
1.能勢博.インターバル速歩で、生涯青春!まだまだどんとこい熟年! NPO法人 熟年体育大学リサーチセンター, 第二刷, 2007年7月9日,22-25P.
2.能勢博. ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方 講談社 第3刷2019年11月19日 14.68-90.96-98.102-103.202P.
2025年8月26日
石川 進