サプリメント・健康食品のお話 (院長)

年齢を重ねても健康に生活したい!テレビではそんな願いに答えるCMがたくさん放送されています。患者さんからも、〝○○の健康食品は効きますか?〟とか〝飲んでも害はないですか?〟との質問をよく頂きます。

まず、一番大事なことは「サプリメントや健康食品は医薬品ではない」ということです。サプリメントなどの錠剤や、カプセル状の健康食品は、医薬品と混同されがちですが、あくまで食品なのです。

医薬品は「疾病の治癒」を目的としたものです。大規模な臨床検査で有効性と安全性が確認されたのち、厚生労働省より認可されます。服用に関しても原則として医師や薬剤師により管理・指導されています。

 

健康食品は次の3つに大別されます。

含まれる栄養成分量が国の基準に適合している食品のことで、販売時に届け出を行う必要はありません。一言でいえば、〝良い食品〟ということです。

国が人での安全性と効果を個別製品として審査し、消費者庁長官が保健機能(健康の維持・増進に役立つ効果等)の表示を許可した食品のことです。大掛かりな試験が必要で、販売前に多額の研究コストがかかります。                

2015年にスタートした新しい表示制度です。事業者の責任で安全性と機能性を確認して、消費者庁長官へ申請して認可された食品です。臨床試験が必要ですが、研究責任は事業者自らが持つため、要する費用はトクホよりも少額です。以上より、医薬品に準じた国による正式な審査があるのはトクホです。

 

テレビCMや新聞広告の片隅には〝個人の感想です〟という掲示がみられます。大切なのは、使用者自身が効果に関して〝個人の感想〟を持つことと〝やめる勇気〟だと思います。私も以前〝若さを保つ〟との広告にひかれて、あるサプリメントを定期購入していましたが、効果が実感できなかったため3か月で終了としました。購入契約を終了する直前の新聞広告で〝やめた途端に老いを感じた〟との見出しをみつけて愕然としましたが、勇気をもってやめました。医薬品ではないので、効果がなくても不思議ではありません。また、定期購入の月額費用もかかります。広告や友人の勧めで始める方が多いようですが、効果がない場合は再検討が必要です。ちなみに、私自身は総合ビタミン剤(製薬会社製造、第3類医薬品)のみを続けています。食事でのビタミン不足を補う目的です。

                                               

副作用に関しては、食品なので大きな問題はないと私は考えています。ただし、摂取後に湿疹などのアレルギ―反応がでた場合は中止して下さい。現在内服中の薬剤と食品成分との相互作用に関して疑問がある場合は、薬剤師の方に伺うのが最善と考えます。

 年齢とともに何らかの病気が出てくることは自然です。大切なのは、病気があっても日々元気で暮らすことです。医師の治療が必要なことも多いですが、十分な栄養、睡眠と適度な運動でご自分の健康維持に努めて頂ければ幸いです。

2023年5月14日 石川進