ペットと健康 (院長)

コロナ禍で在宅時間が増えたこともあり、ペットを飼い始める人が増加しているようです。ペットを飼うことで、生活に癒しや安らぎを求めているのだと思われます。ペット、特に犬と触れ合うことの効果はドッグテラピーとして以前より知られており、介護施設やこども病院などで実際に行われています。

 

ペット飼育による医療・介護への影響を調べた東京都健康長寿医療センター研究所の論文が、英文雑誌PLoS Oneより発表されていますのでご紹介します

*論文:Pet ownership-related differences in medical and long-term care costs among community-dwelling older Japanese.  Taniguchi Y, Yokoyama Y, Ikeuchi T, et al.

PLoS One. 2023; 18(1): e0277049. Published online 2023 Jan 27. doi: 10.1371

対象は、埼玉県比企郡鳩山町で2017年におこなわれた疫学調査に回答した65歳以上の460人です。平均年齢は77.7歳で男性が61.6%でした。慢性疾患としては、高血圧が51%、高脂血症が37%、骨関節疾患が27%、心疾患が22%の人でみられました。対象者をペットを飼っている人96人(20.9%)と、飼っていない人364人(79.1%)。に分けました。ペットの内訳は、犬のみ飼っている人が42.7%、猫のみが24%で、犬と猫の両方が24%でした。まず、月額医療費では、ペットを飼っている人が4万8054円、ペットを飼っていない人が4万2260円であり、ほとんど差がありませんでした。一方、月額介護保険のサービス利用費では、ペットを飼っている人が676円、ペットを飼っていない人が1420円と、ペットを飼っている人はペットを飼っていない人に比べて、介護費が約半分に抑えられていました。研究グループは「ペットを飼育することが規則正しい生活や活動性の増加につながり、ペットの存在が日常生活の自立に良い影響をもたらした可能性が考えられる」と分析しています。

科学的には、犬とのふれあいで、下垂体から分泌されるホルモンの一つであるオキシトシンが尿中に増加することが麻布大学(獣医学部)より報告されています**。オキシトシンは子宮収縮ホルモンとして有名ですが、その他にも幸福感をもたらす、学習意欲や集中力が向上する、ストレスや不安を軽減する、などの効果があります。そのため、“幸せホルモン”“愛情ホルモン”などとも呼ばれており、飼い主と犬との良好な関係で増加するとのことです。

**論文:動物行動学からみた生物の世界 飼い主とイヌの関係 オキシトシンというホルモン. 菊水 健史. 獣医畜産新報(0447-0192)62巻4号 Page338-339(2009.04)

私が子供の頃から家に犬がいたことから、我が家は一貫してイヌ派です。   30歳の時から犬を飼い始め、雑種(♂)、ゴールデンリトリバー(♂)と暮らし、現在はトイプードル(♀)がいます。犬に関しては多少の無理はいとわない、いわゆる〝イヌ馬鹿〟です。毎朝早起きして散歩に行くことと、毎晩の散歩のため犬に無断で外泊はしないこと、を続けており、その点では私の健康管理に貢献していると感じています。

2023年5月26日 石川 進

 

クリスマスは、やっぱりケーキとチキンですよね。