ラグビーリーグワン閉幕   (院長)

 

2023年5月20日に国内最高峰リーグであるリーグワンの決勝が行われ、今年のリーグ戦も一段落しました。私は昨年と同じく、決勝(国立競技場)と前週の準決勝(秩父宮ラグビー場)に観戦に行きました。昨年と違ってマスク不要となったため、気分爽快で楽しめました。決勝では、クボタスピアーズ船橋・東京ベイが初優勝しました。ブログの自己紹介で書きましたが、私の大学時代はラグビー中心でした。卒業後に試合に出たのは2013年のセブンス(7人制)大会が最後で、以後は観戦に専念しています。今後もブログでラグビーのことを書くと思いますので、今回は馴染みの少ない方向けに入門編を書きます。

 

ラグビーの歴史

ラグビーの正式名称はラグビーフットボール。1823年、イギリスのパブリックスクール、ラグビー校で行われたフットボール(サッカー)の試合中に、ウェブ・エリス少年が、突然ボールを持って走り出したのが始まりとされています。日本では、1899年に慶応大学で始まりました。1949年に全国社会人大会がスタートし、新日鉄釜石(1978~1984年優勝)・神戸製鋼(1988~1994年優勝)が各々7連覇と活躍しました。ラグビーは元々アマチュアスポーツでしたが、2003年にオープン化(プロも参加可能)され、トップリーグが誕生しました。2022年より現在のリーグワンに引き継がれています。選手は、プロと社会人(会社所属)選手が混在しており、全員がプロであるサッカー、バスケットボールなどとは異なります。

 

ラグビー代表は国籍を問わない

ラグビーはイギリス国内の様々な学校で行われました。加えて、当時の大英帝国が植民地化した世界中の地域でもラグビーは広まりました。代表的には、ニュージーランド、オーストラリアや南アフリカなどです。その国の代表になるための資格は、本人、両親、祖父母のいずれかがその国出身であること、もしくはその国に一定期間(現在は5年)以上継続して居住していることです。例えば、リーチ・マイケル選手は15歳の時に札幌の高校に留学で来て、そのまま日本の大学を卒業したので、居住期間を満たして日本代表資格が得られました。これが、日本代表にも多くの外国出身選手が選ばれている理由です。

 

ラグビーの約束事

まず、雨や雪が降ろうと決められた時間に試合を始めますーこれは、約束を守るということです。試合はレフリーの裁定が絶対であり、判定などに関してレフリーに確認できるのはキャプテンのみです。ラグビーではルールは罰則規定ではなく、「ゲームを進める上で大切なものとして共有し、みずから守るもの」ととらえる文化があります。激しい肉体接触を伴う30人の競技が1人のレフリーで成り立つのは「そもそも人間はフェアプレーをする」という了解があるからです。ラグビーは「紳士のスポーツ」なのです。

 

ノーサイド試合の終了はノーサイド(No Side)と宣言されます。しかし、実際は「ノーサイド」は日本独特の言葉であり、海外ではフルタイム(Full Time)です。「ノーサイド」には、試合が終われば、敵味方や勝者・敗者の区別はなくなり、お互いの健闘を讃え合うというメッセージが込められています。海外でのラグビーの試合後に行われる対戦チーム合同でのパーティに感銘をうけた人が日本に持ち帰ったことが始まりと言われています。勝負ですから、勝つに越したことはありません。しかし、激しく体をぶつけ合う中でも正々堂々と競いあったことをお互いが認めあっているのです。私は「ノーサイド」の方がラグビーの精神や本質に合っているように思います。

 

私のこと

 大学では何かスポーツをやりたいと思っていました。クラブを見渡しましたが、バレー、バスケットは身長が足りないので断念。野球は小学校の頃下手だったので選べませんでした。ラグビーは高校時代に授業であっため、親近感がありました。また、ポジションによって様々な役割があるため、本人はやれると思ってラグビー部に入部しました。しかし、入学時体重50㎏の虚弱な私がラグビー部に入ったことに周囲の人は驚き心配していたそうです。幸い、先輩の指導、外科医であった監督への憧れに加えて居心地の良さがあり、卒業まで続けられました。「ラグビーは少年をいち早く男に育て、男にいつまでも少年の魂を抱かせる。」という、元フランス代表主将ジャン‧ピエール‧リブの有名な言葉があります。ラグビーをしたことで、私が大人になれたかどうかはわかりませんが、少年の心は忘れないでいたいと思っています。

 

*付録:今シーズンで最も輝いていたと私が思う選手

ファフ・デ・クラーク選手(横浜キヤノンイーグルス)

ポジションはスクラムハーフ(9番)。運動量が豊富で、攻守にわたってゲームの先を読んだ素晴らしいプレーを見せてくれました。身長172cmと小柄ですが、守備(タックル)でも活躍していました。現役の南アフリカ代表(スプリングボクス)で、2019年ワールドカップ日本大会の優勝メンバーでした。今年9月からのフランス大会でも活躍するものと思っています。

2023年6月7日 石川 進