新型コロナ・6月情報  (院長)

5月8日の5類移行後、全国的に感染者数の増加がみられています。特に沖縄では新型コロナ感染の増加により一般診療に影響が出ています。今回は6月の感染状況と当院での対応に関して記載します。

1)2023年6月の感染発生状況
① 発生状況(定点把握)
発生件数は徐々に増加傾向となっており、埼玉県は全国平均を上回っています。
    ~6/4 ~6/11 ~6/18 ~6/25
全国     4.55     5.11    5.60    6.13
東京     5.29     5.99    5.85    6.22
埼玉     5.77     6.51    7.02    7.18
沖縄     15.8     18.4    28.7    39.5 

*定点把握とは:全国の約5000(埼玉県は261)の医療機関からの週1回の報告をもとに算出した1医療機関当たりの平均患者数です。

② 当院での新型コロナ検査陽性件数
5月8日以降は、原則として症状(発熱、肺炎など)のある方のみに検査を行っています。5月の陽性率は全体で18%でしたが、6月は34%に上昇しました。
有症状の方の3人に1人が陽性でした。

       陽性数/検査数(陽性率)
          5月     6月
抗原検査      6/17 (35%)    13/25 (52%)
PCR検査(迅速) 13/76 (17%) 37/113 (33%)
PCR検査(精密) 6/36 (17%)     6/29 (21%)
合計         25/139 (18%)  56/167 (34%)
*4月の検査陽性率は合計で8.6%(13/151)でした。

③ 当院での新型コロナ感染
6月後半に入院病棟の1室で感染が発生し、患者さん4名と担当看護師1名が陽性となりました。患者さんの病状は安定しており、感染対応病床(空調設備あり)で治療を行った後、順次隔離解除中です。看護師1名は自宅待機にて軽快しました。現時点では、他の病室での感染はみられていません。

2)当院での対応
現在の対応は5月8日以降と同じで以下の通りです。
今後、院内・院外を問わず感染の再拡大がみられた場合は、面会禁止、入院時PCR検査再開などの対応を行います。
・入院時の新型コロナウィルス検査: 5月8日以降は原則として症状(発熱、肺炎など)のある方のみに検査を行っています。ただし、手術患者さんでは検査を実施しています。
・感染対応病床:旧コロナ病床(感染対応の空調設備あり)の一部をそのまま維持し、感染判明もしくは疑われる患者さんの隔離を継続します。
・外部からの新型コロナ感染の持ち込みを防ぎます:現在は面会許可としていますが、可能な限りの少人数、短時間を厳守して頂きます。
・職員を介した感染を防ぎます:体調不良者は検査結果の判明を待たずに速やかに勤務を休むこととします。

3)埼玉県の対応:病床確保に関して
・新型コロナに対する病床確保料(補助金):軽症・中等症病床(1364床)の確保料は6月末で、重症病床(70床)の確保料は9月末で廃止となります。
・県内医療機関(342施設)への受け入れ意向調査
「空きがあれば(患者を)外部から受け入れる」が60%、「外部から受け入れられないが、院内感染には対応する」が34%でした。

まとめ
定点観測による感染発生の増加は緩やかですが、実際の検査陽性率は明らかに上昇しており、当院でも院内感染が発生しました。感染力が大変強いため、今後も感染の発生はあり得ると考えられます。重要なのは、感染発生時にいかに拡大を防ぐかであり、当院では感染対応病床使用を含めた迅速な対応に努めていきます。

参考:沖縄の感染状況 琉球新報(2023年6月28日版)より抜粋
・県内のコロナ入院患者数は6月に入って加速度的に増加している。
・入院患者が800人を超え、病床使用率が100%を超える恐れあり。
・中等症以上の患者に対応するコロナ専用病床は、本島と離島の医療機関36カ所で525床確保している。
・一般病床のクラスター(感染者集団)も散発した結果、27日昼時点で36医療機関の専用病床数を超える約560人の入院患者がいる。
・6月は救急搬送件数が急増し、複数の医療機関で救急の制限も起きている。
・沖縄県は軽症や検査目的で救急受診をしないことや、自宅療養に備えた市販薬の準備を呼び掛けている。

2023年7月5日 石川 進