新型コロナ情報・2025年9月 (院長)
新型コロナウィルス感染症は、2023年5月に感染法上の2類相当から5類(インフルエンザと同等)に移行されました。世間的にも当初のパニック状態を脱し、安定した対応が可能となっています。しかし、新型コロナが終息したわけではなく、今年も8月以降増加傾向となっています。
本文の感染者数は9月8日(月)~14日(日)までの1週間の発表によります。
Ⅰ.全国の感染状況
感染者数は春より漸減していましたが。7月以降増加に転じました。例年、毎年夏と冬に感染者数が増加してきましたが今年も同様です。患者数の山は2024年よりも若干小さめですが、9月中旬になっても高止まりしています。
(図:NHKニュースより引用)。
都道府県別では、宮崎県が17.93人と最多で、埼玉県は9.93人です。東京都が4.43人と全国最少なのは不思議な感じがしています。
地域的には、関東(1都6県)、北信越(3県)、東海(3県)はすべて増加傾向です。
Ⅱ.当院での新型コロナウィルス検査結果
検査件数、陽性率は以下の通りで、特に8月は29%と昨年8月と同等の高い値です。検査方法は、抗原定量検査を主として用いています。
2025年 6月 7月 8月 9月 (~22日まで)
検査件数 166 163 238 181
陽性率 5% 12% 29% 20%
Ⅲ.現在の新型コロナウィルス感染症の特徴
現在流行しているのはオミクロン系の変異株である『ニンバス』で、オミクロン株と同様に高い感染力を持つことが指摘されています。症状としては「カミソリやガラス片を飲み込んだような強烈な喉の痛み」が最大の特徴です。主たる感染部位が上気道のため、風邪と似た咽頭痛を訴える方が多数です。
以前の新型コロナは、下気道(気管支~肺)に炎症を起こしたため、肺炎や酸素飽和度の低下がみられましたが、ニンバスでは肺症状のない方も多くみられます。そのため、当院に救急搬送されてきた外傷や腹痛の患者さんの中にも感染陽性の方が一定数含まれており、細心の注意をもって診療にあたっています。
Ⅳ.当院での感染状況と感染予防策
1)当院では、2024年初以降1年9か月間にわたり新型コロナウィルスの院内感染(クラスター)は発生していません。
2)入院時の全員検査:入院患者さん全員に抗原定量検査を実施しています。
3)職員の就業前検査:家庭内に感染がみられた場合や体調不良の時には、就業前に検査を行ない迅速な対応に努めています。
4)面会制限:現在、週2回、短時間、少人数(要予約)を継続しています。他院と比べると厳しすぎるとのご意見もありますが、患者さんの安全が第一と考えています。いましばらくの間ご協力をお願い致します。
おわりに
・感染経路としては飛沫感染が主なため、予防にはマスク着用が有効です。混雑した場所や電車・バス内などでは着用をお勧めします。
・当院では現在救急搬送含む急患の方が増加傾向です。そのため、更なる注意をもって診療を行っています。
・世間的にはコロナが遠ざかったかのような雰囲気がありますが、医療現場では未だ重大な問題です。
2025年9月25日
石川 進