私の好きな温泉地 (院長)
寒くなるとあたたかい温泉に行きたくなります。今回は、私が好きな温泉地をご紹介させて頂きます。あくまで個人的な好みですが、年末の気楽な読み物と考えてご一瞥を頂ければ幸いです。
本文の一部は医療講演会“温泉の効果(2025年12月18日)”で発表しました。
Ⅰ.私の好きな温泉地
①草津温泉(群馬)
「恋の病以外はなんでも治す」と言われており、私自身は温泉中の温泉(The SPA)だと考えています。古くからの日本3名湯の一つで、江戸時代の温泉番付でも第一位でした。泉質は、酸性泉、硫黄泉で独特の臭いがあります。殺菌効果があるため、温泉療養での適応症は皮膚病・神経痛・糖尿病などです。周辺の観光を考えると車が便利ですが、温泉目的の場合は特急列車(大宮から約2時間)で最寄りの長野原草津口駅に着くので楽です。
草津温泉 湯畑
西の河原露天風呂
毎週金曜日は「混浴の日」
②湯布院温泉(大分)
かつては衰退していた山間の温泉でしたが「静かな温泉地」としてブランド化し、現在は大分県を代表する温泉地として有名です。
湯布院温泉
湯布院の発展には亀の井別荘の二代目館主・中谷健太郎氏の功績が大きいとされています。私が所属していた自治医大ラグビー部は夏合宿を湯布院近傍で行っていました。ラグビー部の監督(加賀美尚先生、外科医)が中谷氏の大学時代の友人であった縁で、練習後に亀の井別荘の露天風呂を使わせて頂きました。湯布院を代表する老舗旅館であることなどつゆ知らず、汚れた体で風呂に飛び込んでいたのを後日反省しました。湯布院が目指してきたのは“ドイツに倣った滞在型保養温泉地”です。中谷氏は、1971年に近隣旅館の当主らと50日間にわたりヨーロッパ各地を私費で視察してまちづくりを学びました。コンセプトは「観光バスも宴会もいらない」で、団体旅行の誘致を目指していた多くの温泉地とは異なるものでした。中谷氏自身は東宝で映画の助監督をつとめていた方で、湯布院映画祭、湯布院音楽祭などの文化的な取り組みを通じて全国区の観光地に育て上げました。
亀の井別荘 1921年(大正10年)~
中谷健太郎氏
Ⅱ.これから行きたい温泉地
・和倉温泉(石川県)
和倉温泉は、開湯1200年とされる歴史の古い温泉で、北陸随一の“海の温泉”です。江戸の幕末には、遠く京都の公家や大阪の豪商、絵師や俳人などが訪れ、明治以降は皇族も来訪されています。残念ながら、2024年1月1日の地震で大きなダメージを受けましたが、以前から一度は行きたいと思っていました。私が行ってみたいのは、“加賀屋(1906年~)” さんです。ただし、高級旅館で贅沢三昧をしたいわけではありません。同旅館の目指してきた「おもてなし」に興味があるのです。病院では患者さんを「おもてなし」しているわけではありませんが、本当の「気くばり、心づくし」は共通と考えておりぜひ学びたいと思っています。
和倉温泉・加賀屋
おわりに
昭和の高度経済成長期に団体客の誘致を目指した温泉地の多くは、その後のバブル崩壊などの社会経済の変化により危機的状況に陥りました。草津温泉は時代や世の中の変化にも揺るがない価値をもつ、いわゆるナンバーワン温泉の一つです。また、湯布院温泉の繁栄は長期的な視野に基づいて正しいまちづくりを行ってきた成果だと思います。医療状況が厳しい昨今ですが、当院も自らの役割と存在価値を見極めて、将来に向けて前進できればと考えています。
2025年12月27日
石川 進