政府がマイナンバー普及に一生懸命なのは、税金を漏れなく取り尽くすため、ということを前回述べました。公平・公正な納税という点で誰も文句はないはずですが、追徴という裏技が隠れていることにも触れました。

私が早くからマイナンバー登録に協力したのは別の考えがあったからです。それは、医療現場にマイナンバーを導入して欲しいというものでした。

1人の患者の情報、例えば外来受診歴、入院記録、検診受診歴、服薬歴などを施設横断的かつ網羅的にみる方法が日本にはありません。それぞれの施設、それぞれのシステムの中で同一人物に付与されるIDが異なっているからです。こうした状況では、検診と疾病との関連、がん罹患率、がん生存率などの正しい情報は得られません。予防医学に必須の情報が得られていないということです。マイナンバーが医療に応用されれば医療情報が一元化できると期待しました。

今の日本は医療費の膨張で国家財政破綻の危機に直面しています。この危機を救う1つの方法が予防医学です。ところが、その構築に必要なデータが各医療施設から集められていないというのが現状です。
プライバシーを侵害されたくないという気持ちはわかります。しかし、これからの時代、とくに今の若い人たち、これから生まれてくる人たちのことを考えると、医療の適正化に役立つデータの収集は必須です。そのためにマイナンバーを活用して欲しいと願ってきました。

半年前のニュースですが、マイナンバーで投薬履歴の確認ができ、特定健診のデータも閲覧できるようにするという政府方針が発表されました(表は2019年6月3日付け日本経済新聞より引用)。検診歴や服薬歴の把握という点では画期的だと思います。健康保険証として使えるようにもするとのこと。そうなると検診と病院情報とのリンクが可能になりますので、私は評価したいと思います。しかし、たばこ販売の成人認証カード「タスポ」の代用としてマイナンバーを使うということも明らかにされました。これには呆れてしまいます。たばこ販売と健康管理とは矛盾します。なぜこのような提案が出てくるのか、理解に苦しみます。結局、税金の絞り取りだけか・・・。