昨日から5夜連続で、また新しい「白い巨塔」(テレビ朝日)が始まりました。

山崎豊子原作の映画化・ドラマ化はいくつもありました。私の記憶に残る財前五郎は大映映画の田宮二郎とフジテレビの唐沢寿明です。
所詮フィクションですから、深い意味を感じる必要はないと思います。
とは言え、外科医の物語です。興味はあります。
私自身が医師になってから、大学外科の教職についてから、という点では唐沢主演が印象に残ります。金と権力、欲望の物語だからではありません。

「失敗しません」のドクターXに限らず、最近の医療ドラマは荒唐無稽すぎて見る気がしません。
しかし唐沢主演のドラマは、私の知る医療現場をかなり忠実に再現していました。手術のことではなく、それ以外のシーンです。
がんの告知、告知直後の患者の動揺と拒絶言動、死の受容、看護記録の重要性、大学病院における終末期ケアの惨めさ、急変時の阿鼻叫喚、財前死後の病理解剖、などが真に迫っていました。
現場の実録が叶わないため、真に迫るドラマシーンは医学教育に使える素材でした。実際、医学生や看護学生への講義に活用させてもらいました。病理学の真髄を語る大河内教授の姿も学生に伝えました。
今回のドラマにこうした場面がどこまで描かれるのか、描かれないのか。5夜では無理かな、という気もします。

それにしても、原作の消化器外科のトピックスが、映画化・ドラマ化に伴ってこうも変わるのかと思うと、外科の節操無さを感じます。
特に今回は、私が40年間、心血を注いだ膵臓外科がテーマになっています。正直、白けます。