「かしこまりました」

発熱外来の患者をみていると、数十人に1人、カタカナの名前があります。文字が多く、区切りの点があってもどれが姓でどれが名なのか、ミドルネームなのか。結果的にアジア系が多いのですが、どの国なのか。
見た目では分かりません。
発熱外来の最初の問診は原則電話です。長い名前の最初のカタカナ部分に「さん」を付けて呼び掛けます。日本語の分からないかたが少なくありません。幸い通訳がたいてい付いていますので電話問診で困ることはほとんどありません。

先日の発熱外来患者もカタカナの長い外国人でした。
日本語が全く話せません。通訳の友人が付いていました。友人は流暢な日本語でした。出身はともにアジアのN国とのこと。
後日、検査の結果を通訳に伝え、患者の療養について細かな指示を与えました。
私が最後に「・・・としてくださいね」と言うと、通訳は間髪を容れず返答しました。
「かしこまりました」。

スピーカーモードで一緒に電話を聞いていた隣の事務職員と思わず顔を見合わせました。
日本人の患者や家族との会話で「かしこまりました」を聞いたのは、どんなに時間を遡っても思い出せません。

改めて思いました。
何と美しい日本語か。

付け加えると、「かしこまりました」は当院の看護師や事務職員が比較的よく使う言葉です。私は、当院への赴任前に、患者・家族はおろか医療者からもほとんど聞いたことがありません。実に丁寧だなと思うと同時に、こそばゆい感じもしていました。

外国のかたにその言葉の良さを教えてもらいました。
次は自分が使う番でしょう。
今、いつも時間がないことを理由に、素っ気ない言葉でしか返さない私です。
チャンスはあるか。本気か。