私の前任地、茨城県の病院でいよいよがんゲノム医療が開始されることになりました(掲載の資料はそのごく一部です)。

今年6月、がん遺伝子パネル検査が保険適応になったことを喜びましたが、実際に検査を行い、その結果を活用して治療につなげる体制は遅々として進みませんでした。夏には、秋には、など様々な噂はあっても、始まりませんでした。

大変なことはよく分かります。遺伝子に関わる話ですので、カウンセリング体制をまず整えなければなりません。そこをクリアしても検査の結果を出すに当たっては、専門家を交えたエキスパートパネルでの検討を経なければなりません。結論が出るまでに3-6ヶ月かかると言われます。しかも、仮にがん遺伝子パネル検査で有望な結果が出ても、現在の薬剤のなかで使えるのは10-15%にすぎません。仮に使える薬剤があっても、多くの場合保険は使えず自費となります。とは言え、従来の標準的治療が無効に終わった患者さんにとって、最後の望みです。がんの病期は末期です。時間がありません。それなのに、半年近くも待たなければがんゲノム医療の対象にならないというのは何と無慈悲なことでしょうか。

がん遺伝子の検査が効率よくできても、専門家を交えるエキスパートパネルの処理能力には限界があります。他に治療法がないがん患者さんは無数にいます。処理が間に合わず結果が出る前に患者さんが亡くなってしまうと、検査代約60万円は保険から支払われず、病院が負担しなければなりません。ですから病院としては、救いを求める患者さん全てに検査はできません。「元気な末期がん」だけ検査をしましょう、などという変な話が出てきます。
こうした難しい話が溢れていました。それは私も理解していました。しかし、ともかく早く始めて欲しいと思っていました。それが遂に開始されるという知らせが届いたのです。

ただし、これは前任地の茨城県での話です。
現在勤務している埼玉県はどうなのか。私には情報は一切入ってきません。
命に軽重はありません。様々な問題があるにせよ、全国一律に一刻も早く開始してもらいたいと思います。

 

資料1

 

資料2

 

資料3