インフルエンザ流行時の診療体制について〜新型コロナウイルス感染症を考慮して〜

昨日午後6時30分から8時まで、埼玉県・埼玉県医師会 感染症対策研修会「インフルエンザ流行時の診療体制について〜新型コロナウイルス感染症を考慮して〜」がオンラインで開催されました。新型コロナウイルス感染症院内感染対策研修会〜埼玉県医師会主催web研修〜の時と同じように(2020/5/30のブログ参照)、当院では外来ホールで多くの職種の職員に聴講してもらいました。

演者は防衛医科大学校内科学(感染症・呼吸器)川名明彦教授。講演をお聞きするのは初めてでした。誠意ある発表と丁寧な質疑応答に感銘を覚えました。
「分からないことは分からない」。正直でした。「臨床の第一線で診ておられる先生がたの判断は尊重します」。現場への配慮を感じました。「大学病院は重症患者の受け入れが使命だと思っています。軽症患者の受け入れはぜひ地域の先生がたにお願いします」。朴訥ながらも自信溢れる強いメッセージを発信されました。

川名先生は最新のコロナ情報を教えてくださると同時に、秋以降に予想されるインフルエンザについてもご教示くださいました。
ウイルス干渉でインフルエンザは自然抑制されるという考えは楽観的であり、仮にそうなったら良かったと言えばよい、という至極ごもっともなご意見を述べられていました。今季のインフルエンザワクチンは埼玉県では260万人分とのこと。人口730万余の県民に行き渡ることはないようです。優先順位をどう付けるかについてのお話もありました。

私が注目したのは、新型コロナウイルスの第1波と第2波の病毒性についてでした。巷では、第2波は病毒性が弱まっていると噂されています。重症者数や死亡数が第1波よりも少ないからです。一方では、PCR検査体制の充実により若年者・軽症者・無症状者が多く見つかっているだけであって、高齢者が罹患するとやはり死に至る例が少なくないという指摘もあります。どちらが正しいのか。
川名教授が示された厚生労働省第6回コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(8/24)の資料によると、全年齢粗死亡率は第1波6%、第2波4.7%と確かに第2波のほうが低くなっています。それゆえ、弱毒化説が出てくるわけです。ところが、70歳以上の死亡率は第1波25.1%、第2波25.9%と全く同じであり、50-69歳でみても第1波2.8%、第2波3.1%と変わりません。ちなみに50歳未満は第1波0.1%、第2波0.0%ですから、これも差がありません。ということは、第1波も第2波も死亡率でみる限りこのウイルスの病毒性は変わらない、ということになります。
さらに言えば、巷間言われるような「第1波の経験から治療法が進歩したために第2波では死亡率は低下した」こともないのかもしれません。
今後のデータを注視したいと思います。