スペイン風邪にみる感染拡大防止策

東京慈恵会医科大学の浦島充佳教授のブログ(http://dr-urashima.jp)から引用します。
これを読むと、イベントの自粛、学校の臨時休校は有効のように思えます。
皆さまにもご理解をいただきたいと思います。

ただし、スペイン風邪と今回の新型コロナウイルス感染症との比較において注意したいこととして浦島教授は最初に次の点を挙げています。

「ここで注意したいのが、スペイン風邪と新型コロナウイルスは、その症状も感染力も異なるということだ。ある時期に急速に広がった感染症の一例として比較していることを念頭においてほしい。」

その後、次のように主張を展開しています。

「2007年、米国CDCがアメリカ医師会誌に報告したデータによると、スペイン風邪の流行時の1918年9月8日から19年2月22日までの24週間、43都市において、累計115,340人(10万人あたりおよそ500人)のインフルエンザおよび肺炎による超過死亡があったと推定される。(編集部注:超過死亡とは、インフルエンザ等の流行時、死亡者数を平年の同じ時期の死亡者数と比べて上回った数のこと)

どの市も患者隔離、学校閉鎖、集会やイベントの禁止などの少なくとも1つの医療行為以外の介入をとっている。そして対応をしっかりやった都市ではスペイン風邪超過死亡が数分の1に抑えられたことを突き止めた。
ニューヨークでは、流行のはじまる11日前から早期介入を行なっている。その結果、流行のピークまでの時間をかなり遅らせることができた。大都市のわりにピークは遅く、しかも低めに抑えられている。介入としては、隔離・検疫とポスターによるリスクコミュニケーションやビジネス時間を交代制にするなどの措置がとられた。おかげで、流行がはじまってからピークまで35日間あった。これだけの時間があれば医療機関の体制を整備する時間稼ぎになる。

一方、ボストンでは流行がはじまってからわずか8日でピークを迎えている。学校閉鎖、集会禁止以外にビジネスアワーの制限などの措置がとられたが、これは流行がはじまってから13日も経ってからのことであった。つまり、同市は、無介入のままピークを迎えてしまったことになる。
流行前(早期)に介入を開始することにより、増加スピードを遅くし、流行のピークを遅らせることができるといえるだろう。

スペイン風邪のデータより、集会・イベントの中止や制限を早期より開始し、徹底的に実施するのが重要であることがわかる。この対応で、今回の新型コロナウイルスでも、より感染拡大のスピードを遅らせ、ピークの高さを抑えることができる可能性がある。つまり、危機の時ほど、各国政府にはリーダーシップが問われるのだ。」