日傘の話を何度か書きました。熱中症と白内障の予防によいのではないかという個人の感想を述べました。
炎天下を25分も歩いたために、日傘をさしていても軽い熱中症にかかってしまったことも正直にお話しました。
しかし、だからといって日傘が役立たなかったことではないと思います。日傘がなかったら、救急車に運ばれる事態になったような気がします。
その意味で、日傘の効果はあったと自分では思っています。

日傘は皮膚がんの予防になると考える人がいます。
日本皮膚学会は皮膚がん予防として、日焼け止めや日傘の使用を推奨しています。そのことも以前書きました。しかし、日本人にそのエビデンスはあるのか、という疑問も出させてもらいました。
また、日に当たらないようにするとビタンD不足となり、骨粗鬆症につながり、骨折を発症する危険が高まります。
骨折を起こすと死亡率は9倍になることもお伝えしました。
となると、日光を浴びて皮膚がんになるのか、ビタミン D不足で骨折して死亡率を上げるのか、どちらが自分にとって良いのか悪いのか、というような話になります。

回復期病棟で多くの骨折患者さんを見ている立場からすると(逆に、皮膚がんを全然見ていない立場からすると)、日光は浴びておいたほうがよいと考えます。一方に偏らない多面的な見方が大切だと分かっていても、自分の置かれた立場でどうしても考えが偏ってしまいます。
日傘についてもうひとつ考えてしまうのは、女性の心理です。多くの女性は日焼けやシミを嫌うから日焼け止めや日傘を使うのだと思います。その効果はまちがいなくあると思います。
美白に憧れる気持ちも分かります。一方、それによって骨折のリスク、死亡のリスクが将来、上がってしまうことをどう考えるかという問題です。
死亡につながらなくても、骨折の痛みは辛いし、痛みが何とかとれても、腰が曲がってしまうこともあります。答はたぶん、人さまざまでしょう。
そもそも長い人生の異なる時間、異なる性質での比較ですから、考えても無駄なのかもしれません。

バランスのとれた考え方というのは、なかなか難しいものです。