マスクの効果

新型コロナウィルス騒動でマスクが品切れ状態のようです。
感染した人が他人に伝染させないようマスクをするのは有用ですが、ウィルス感染症の予防にマスクは役立たないと言われています。一方、病院では、少なくとも患者に接する医療者は必ずマスクをするのが常識となっています。病院では感染リスクが高いから、というのが理由です。また、手術室で必ずマスクをするのは、医療者の会話やくしゃみで唾液などが手術部位に入らないようにするためです。加害者にならないためにマスクをしていると考えればよいと思います。

感染症対策の総本山アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインが示すように、マスクは病院では必須、街中では不要、というのが標準的な考え方です。しかし、病院と街中がall or nothingのように様変わりするのかとなると、私は少し疑問に思います。

私自身は病院にいても外にいてもマスクをするようにしています。外でマスクするのは冬に限られますが、私の場合マスクをする理由は感染予防というよりも気道対策です。私は気管支喘息を40年以上患っています。寒さや乾燥が大の苦手です。マスクをすると適度な温度と湿度が保たれ、楽になります。喉がやわらぐので気道粘膜にはよいはずです。それが間接的に気道感染を防止するように思えます。

マスクの功罪の研究はたくさんあります。しかし保温・保湿の効能については見つけることができません。議論する意味がない、ということなのかもしれません。
ちなみに今季のインフルエンザの流行は早くに始まり、大流行が心配されましたが、2月上旬現在、例年の半分程度の患者数で推移しています(図参照)。新型コロナウィルス騒ぎで一斉に注意するようになったからとも言われています。ウィルス感染の予防は手洗いが基本ですが、手洗いを皆が急にし出したとも思いにくいので、結局マスクなのかな、という気もします。
経過を注意深くみていきましょう。