中国からの新型コロナウイルス感染症最新情報〜7万2千余名の報告〜

2020年2月24日付のアメリカ医師会雑誌(JAMA)最新号に中国からの新型コロナウイルス感染症最新情報〜7万2千余名の報告〜が載っていました*。日本での今後の流行を考えるうえで貴重な資料だと言えます。
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2762130?guestAccessKey=7141600a-8706-4441-a5b9-fe33d6dc854d&utm_source=silverchair&utm_medium=email&utm_campaign=article_alert-jama&utm_content=olf&utm_term=022420

この報告には有用なデータが多く含まれていますが、私が最も注目したのは患者数の増減です(図参照)。有症状患者は2020年1月11日から増え始め、1ヵ月後の2月11日にはほぼ前値に戻っています。有症状患者数のピークは1月26日、流行から15日後でした。診断症例数のピークは2月5日で、有症状患者数のピークよりも10日遅れでした。また、有症状の数は診断症例の数よりも少なくなっています。この図には、中国国内および世界の動向も記されています。ここから読み取れるのは、1)流行開始から15日後がピークで1ヵ月後には新規発生はほぼなくなった、2)感染者の25%は無症状だった、3)中国なりに厳しい措置(1月23日武漢市閉鎖、1月24日他の15都市閉鎖)をとった2-3日後に新規患者はピークを迎え、以後、下降をたどった、の3点だと思います。
中国と日本が同じだという保証はもちろんありません。しかし、同じウイルス感染症です。同様の対応が日本でもできる、同様のことが日本でも起きる、と私は考えます。
楽観的すぎるという批判はあるでしょう。
注意深く推移を見る必要はあります。

それにしても、中国の科学力、少なくとも科学の発信力は優れていると率直に認めざるを得ません。2月4日のブログでも述べたように、新型コロナウイルスのPCR診断キットをいち早く世界に配布したのは中国です。だからこそ世界ほぼ同時に新型コロナウイルスの診断が可能になったのです。
災害時・困難時に大切なのは、非難し合うことではなく、お互いを認め合うことだと思います。