私は今まで急性期病院を中心に勤めてきました。
本格的なリハビリテーション診療を詳細にみるのは当院が初めてです。

多くのリハビリ療法士(セラピスト)が活躍しています。訓練室に行くと、歩行補助具や装具がならび、その名前にも目新しいものが多くあります。
回復期病棟を訪れるのも初めてでした。院長回診でうかがうと、患者さんの半分ほどは訓練のためベッドにいません。それでもカルテで、疾患名や住所、転院転科の経緯、現在の状況、今後の方針などを読んで概要をつかみます。
カンファレンスを毎日開いているというので、先日、見学しました。

最初に気づいたのは、セラピストからスラスラ出てくる用語になかなかついていけなかったことです。「きでんかいじょ」を聞いたときは全く理解できませんでした。「起臀介助」の文字を見て分かりました。
新しいことは、興味をそそられます。基本を勉強しようとする気になります。ネットで「回復期リハビリテーション病棟のあり方 指針」(一般社団法人 回復期リハビリテーション病棟協会、2017年)を見つけました。
読むと、入院前から退院までのプロセス、多職種協働のポイント、実施計画の作成、患者と家族の理解度と意向の確認、栄養状態の把握と向上、在宅・地域への復帰支援、退院後のフォローアップなどの「あり方」が具体的に書かれていました。これを読んで、「用語や業務の違いはあっても、この『あり方』は急性期診療あるいは手術でも何ら変わりない」と感じました。
全ての診療に共通する当たり前のことです。

医療の現場で最も問題になるのは、当たり前のことが当たり前にできない、ことなのかもしれません。もちろん、私にもできないことが多々あります。そこで悩むのです