本当はラグビーW杯2019で日本が世界ランキング2位のアイルランドを破ったことを書きたかったのですが、生中継を見ることができませんでした。結果をあとで知って天を仰ぎました。

その時間、都内で開かれた回復期リハビリテーション病棟協会主催・日本リハビリテーション医学会共催の「第18回 回復期リハ病棟専従医師研修会」に参加していました。朝から夕方遅くまでの研修会でした。この研修会は2日間のコースで、翌日の日曜日も丸1日講義がありました。

当院は回復期リハビリテーション(回リハ)病棟の体制強化加算をとってないので専従医師研修を受ける必要はありません。しかし、回リハに関わっている以上、勉強しないわけにはいきません。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホームへの退院は在宅復帰率にカウントされること、嚥下障害に対し食道入口部・輪状咽頭筋のバルーン・ストレッチが有効なこと、食道下部に栄養剤を注入する間欠的経管栄養法(ITF)は経鼻胃管留置法よりも退院時の3食経口摂取達成率が高いこと(医師の講義)、食道ITFのリスクを指摘されて看護師は悩んでいること(看護師の講義)、右前頭葉背外側面の障害で左半側空間無視が生じること、左の同じ部位の障害では右半側空間無視は生じないこと、その理由を聞いてなるほどと思ったこと、左前頭葉眼窩面の障害では抑制がなくなり感情・行動の障害(易怒性、攻撃性)が生じること、人工股関節・骨頭術後の禁忌肢位は手術のアプローチによって異なること、換語困難・音韻性錯語・語性錯語の意味はそうだったのかと分かったこと、など有益な知識を得ることができました。
看護師、栄養管理士、ソーシャルワーカー、言語聴覚士、作業療法士、理学療法士からの講義もありました。多くの演者は最後のスライドで「医師へのお願い」を出していました。「リハビリマインドを持って一緒に汗をかいてくれる医師であってほしい」、「栄養ケアを理解してほしい」、「施設の選択に一緒に関わってほしい」、「リーダーシップを発揮してほしい」、「患者・家族に進んでわかりやすい説明をしてほしい」、「運動負荷制限の目安について具体的な指示がほしい」。思わず俯いてしまう指摘ばかりでした。
回リハは、付け焼き刃でできる仕事ではありません。これは回リハに限らず、どの診療科、どの職業にも言えることです。

参加の医師は120名ほど。年齢は30歳代から70歳代までほぼ各年代が均等に受講していました。知っている名前や顔はありませんでした。そのことが、新鮮な気持ちにさせてくれました。居眠りをすることなく最後まで緊張して聴講しました。緊張の原因は講演内容の斬新さにあったのですが、両日とも確認テストがあったのも関係していたかもしれません。この歳になってもテストを受けるのは何とも嫌な思いがします。自分の脳をMRIで見られてしまったときに似た気持ちでした。