新型コロナウイルス感染症に対する抗体カクテル療法

昨夜のビッグニュースです。
カシリビマブ・イムデビマブという新型コロナウイルス抗体2剤の配合薬(ロナプリーブ®️点滴静注セット、中外製薬)が厚生労働省によって特例承認されました(図は日本経済新聞オンライン版*引用)。
*https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA193QX0Z10C21A7000000/

2つの抗体は、新型コロナウイルスに対するmRNAワクチン(2021/1/4ブログ参照)と同じくウイルスのスパイク蛋白を標的としているそうです。ワクチンの効果は今や疑いがありませんので、今回の抗体カクテル療法も有効性は高いと言えそうです。
新型コロナウイルス感染症の治療薬として国内で今までに承認されているのは、レムデシビル、デキサメタゾン、バリシチニブの3薬剤でした。当院でもこの3つの薬剤は使用できるようになっています。ただし、3剤とも適応は中等症から重症の患者に限られます。軽症に対しては一般の解熱薬や鎮咳薬等による対症療法しかなく、もどかしく思っていました。それが軽症でも使えるようになれば、重症化を間違いなく阻止できるように思います。

ウイルス感染症に対する抗ウイルス薬の投与は早ければ早いほどよい、とされます。新型コロナに対する抗体カクテル療法が軽症でも使えるようになると、次に対応すべきは早期診断です。PCRの結果は、当院では24時間近くかかっています。PCR検査を外注に出すためです。この時間をもっと短縮できないか、対応が求められます。

一方で薬価の問題があります。抗体治療薬はともかく高額です。軽症患者全てに使うことはあり得ません。適応は「重症化リスクのある軽症〜中等症I(酸素吸入を要しない状態)」とされます。国が買い取り医療機関に供与するため薬価収載はない、とも言われています。
軽症を診ることの多い当院では具体的にどう適応を絞るべきか。調査が必要です。

抗体医薬品は比較的副作用が少ないとされますが、「インフュージョンリアクション(急性輸液反応)」という特有の合併症もあると聞いています。対応を勉強しておく必要がありそうです。