新型コロナウイルス感染症に対する病院の対応

2020年2月17日、政府は国民向けに「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安 」を発表しました。たいへん重要なことを指摘していますので要点を挙げます。
1. 発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控える。
2. 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方、強いだるさや息苦しさがある方は、帰国者・接触  者相談センターに御相談ください。
3. 高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方は症状が2日程度続く場合には帰国者・接触者相談センターに御相談ください。
4. 妊婦の方は早めに帰国者・接触者相談センターに御相談ください。
5. 小児は「症状4日以上」の目安どおりの対応をお願いします。
6. 相談後、医療機関にかかるときは、帰国者・接触者相談センターから受診を勧められた医療機関を受診してください。複数の医療機関を受診することはお控えください。
7. 医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、手洗いや咳エチケットの徹底をお願いします。

私の病院では昨日(2月18日)、病院としての対応を協議しました。
その結果、政府の方針に従って、条件に適合する患者は帰国者・接触者相談センター(平日昼間は原則保健所、それ以外は広報紙等参照)で相談していただき、当院では診療しないことを決めました。複数医療機関の受診を避けるためにやむを得ないこととしてご理解いただくようにしました。
当院にとっては、インフルエンザと同様に新型コロナウイルス抗原のチェックができる体制になったのは喜ばしいと思います。その一方で、その検査に当たる機関や担当者の負担はたいへんなものだと思います。あらためて感謝いたします。

帰国者・接触者相談センターから受診を勧められる医療機関(新型肺炎専門外来)は全国に約800ヵ所指定されるとのことです。指定医療機関名は公表されていないので不明ですが、人口当たり等で換算すると埼玉県で40ヵ所、さいたま市で7ヵ所程度でしょうか。当院のような中小病院は対象外となります。
指定医療機関は対応に追われていると推察します。

中小病院は「診療しない」とばかり言ってはいられないと思います。
風邪症状の大部分は新型コロナウイルスとは関係ないはずです。指定医療機関の負担を少しでも軽減してあげることを考えるべきだと思います。
ひとつは「高齢者」の扱いです。政府は症状を有する高齢者に早めの相談を勧めています。具体的な年齢が挙げられていないので、何歳以上とするかは病院ごとの対応になると思います。
当院では当面、80歳以上としました。高齢化率の算定に使う65歳以上とすると、指定医療機関への受診者数がかなり増えるはずです。診療や検査の体制にかなりの負担増を強いることになります。ただし、国内流行の今後の推移では年齢を下げることが必要になるかもしれません。

注意深く経過を見たいと思います。
いずれにしても、医療者も一般の人もお互いに協力し合うことがたいせつだと感じています。