新型コロナウイルス院内感染 〜看護部の総括と私の思い〜

今回の当院内科病棟クラスターでは患者19名・職員15名が感染してしまいました。療養病棟では患者2名の感染がありました。感染した患者21名のうち4名が隔離中に亡くなられました。コロナウイルスそのものによるとは必ずしも言えませんが、いずれも重篤な基礎疾患がありました。コロナにより病状が悪化したことは否定できません。あらためて深くお詫び申し上げます。

看護部が振り返りをしました。
その報告書を先日、菅沼看護部長からもらいました。院内感染が発覚した7/24の直前からの看護部の動きがまとめられていました。私は病院の責任者ですので患者の発生、職員の感染、病棟の動きは把握していたつもりでした。しかし、看護師の視点はより深いものでした。

「2022年7月21日(木) 師長会議にて COVID-19感染症の急増に伴い、各看護単位で出勤できない職員が増えているため、看護部全体でサポート体制を整え、看護管理者が状況を把握できるよう協議する。
2022年7月24日 7月23日に退院した患者のCOVID-19陽性の連絡を受け、同室者3名の抗原検査陽性を確認。以後感染拡大状況は別紙①参照(筆者註:掲載省略)。
2022年7月26日 清掃職員の4階病棟(筆者註:内科病棟)への立ち入り禁止⇨ごみの収集のみ行う(エレベーター前に6回/日 時間を決めて)。
2022年7月26日 9:30 看護部各部署長を招集し、職員の感染が広がり部署内での勤務調整が難しくなっているため、4階病棟への看護師の応援を要請。
要請にあたり次の事項を伝えた。
*整形外科・外科の手術を止めることにならないよう、手術室・5階西病棟の職員の応援は4階病棟に直接的でない方法とする⇨コロナワクチン接種担当を担うこととする。
*他部署へ広げないよう、日替わりの応援ではなく、できれば週単位とする。
*応援要員となった看護師は、応援期間終了後2日の休みを取り、感染兆候等ないことを確認してから、自部署の勤務に戻れるよう勤務調整を行う。
(中略)
2022年8月4日 師長会議にて、4階病棟の状況を共有し、対岸の火事ではないこと。自部署で同様のことを起こさせない。もし起こってしまったらを想定して、現状確認と対応を考えるよう伝えた。
2022年8月4日 PPEを付け1日中行動するため、汗だくになり白衣の洗濯が間に合わないため、総務に予備の白衣の貸し出しを相談。8月8日から貸し出し開始。
2022年8月19日以降新たな感染者は出ておらず、8月29日より内科病棟での新規入院の受入れを再開する。
<今後の課題>
4階病棟で振り返りを行い、今後の取り組みを明示している(「4階病棟においてCOVID-19感染拡大の振り返り」添付(筆者註:掲載省略))。看護部として共通理解し支援するとともに、看護部全体の課題として取り組んでいく。
感染した、しないに関わらず看護職員全員に大きな負担がかかった。中には精神的に落ち込んでいる職員もいる。今後はメンタルケアも重要になる。
<まとめ>
(中略)
今回の感染拡大により4名の患者様が亡くなられている。そして、退院の機会を失った方も居られる。また、感染した職員のご家族にも大きな影響を及ぼした。このことを肝に銘じ看護師としても反省し、的確な助言・支援ができるようにしたい」。

肝に銘じ反省すべきは、医師である私も同様です。
なぜこうなったのか。今でも悶々としています。
私がすべきことは何か。再発防止であるのは間違いない。私なりに考えたことを世に発信してみよう。
それが患者への、看護師へのせめてもの償いのように思えるのです。