新型コロナ重症者数の減少

テレビでも新聞でも毎日、新型コロナの感染者数や重症者数、死亡者数が出てきます。感染者数は検査数の多寡によって変わりますので、流行の目安には必ずしもなりません。重症者数はその点、現状の深刻度を表す客観的な数字と言えるようです。医療体制の逼迫度にも関係しますので貴重な数字です。

「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年9月5日版)」によれば、前日比でPCR検査実施人数16,939人増、陽性者数590人増、入院治療者数421人減、重症者数4人減となっています(付表、黄色の網かけは筆者による)。陽性者数が600人近く増えても入院患者数は400人余り減っていますので、病院の負担は減っているはずです。また重症者数も4人減っています。重症者管理をする治療現場は少し負担が減ったように感じます。

しかし、注意しなければならないのは死亡者数です。前日比19人増。ということは、重症者のうち19人が亡くなり、重症者のリストから除外されたことを意味します。それだけで重症者数は19人減少しました。
では、重症者数が前日比4名減少ということはどういうことでしょうか。

次の式から出される数字が前日比「-4」のはずです。
(新たに重症になった人数)-(重症からの回復者数)-(重症からの死亡者数 [19])
=-4

書き換えると、
(新たに重症になった人数)-(重症からの回復者数)
=19-4
=+15

新たに重症になった人数は、重症からの回復者よりも15人多かったことになります。したがって新型コロナの脅威はおさまっていません。
その一方で、死亡者が出たことで重症者数は結局4人減りました。
重症者が亡くなったことで治療現場の負担が減ったとも言えるのです。
やるせない現実です。