新年の誓いを立てた人は多いと思います。私も誓いました。ありきたりですが、「今年も元気に、一生懸命に」。

目標を立てることは大切です。目標を立てるに当たり数値目標が必要だと一般に思われています。しかし、数字が出てくると変なことが起きます。だから、目標値を設定することは好きではありません。

昨日、郵政3グループのトップが辞任しました。かんぽ生命・日本郵便の強引な契約をめぐる不祥事の責任をとってのことです。小学生でも分かる倫理観の欠如がなぜ公的な大企業で大規模に生じたのか。ノルマが達成できないと寄生虫呼ばわりされた、との報道がありました。数値目標の落とし穴があったように思えます。

少し前の別の不祥事でも数値目標の問題が浮かび上がりました。
国内自動車製造各社(N社、Mi社、Ma社、S社)の不正です。自動車製造業は、安全性に関わるという点で病院事業と同じです。それが燃費試験不正、排気ガス測定値改ざん、無資格者による完成検査、などの不正を次々と働きました。共通の背景は、郵政グループと同じです。数値目標の達成が会社全体の至上命令だったという一点に収束されます。

数値目標の本質について、トヨタ自動車の豊田章男社長は日本経済新聞社と英国フィナンシャルタイムズとの共同インタビューでこう述べています(引用は日本経済新聞2016年1月12日紙面より)。

トヨタ自動車の豊田章男社長と日本経済新聞社と英国フィナンシャルタイムズとの共同インタビューはコチラ
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「豊田社長は『目標数値に依存する経営』のリスクも強調した。販売台数などの数値目標を掲げて会社を引っ張ると、それ以外のものが目に入らなくなり組織が1つの方向に暴走しかねない。『販売台数で世界首位』をめざした独フォルクスワーゲンの排ガス不正事件や、東芝の会計操作など『数字にこだわりすぎる経営』の引き起こす不祥事は後を絶たない。
豊田社長は『現場に近いところでそれぞれ数字の目標を決めて頑張るのはいいが、経営トップはやってはいけない』『リーマン・ショック以前のトヨタも数字経営だった』などと持論を展開した。」

病院経営も数値目標ではなく診療内容そのもので勝負できればと思います。