日医かかりつけ医機能研修制度 応用研修会

昨日の日曜日、朝から夕方まで日本医師会主催の「日医かかりつけ医機能研修制度 令和2年度応用研修会」に出席しました。駅まで歩き、電車に乗り、会場まで歩きました。
本研修会は昨年5月24日に予定していていましたが、新型コロナのため延期となっていました。オンライン配信はなく現地集合とのことでした。しかし講演は全てDVDによる上映でした。DVDの上映であればオンライン配信があってもよかったのではないか、という思いが少しありましたが、気分転換と運動不足解消を兼ねて弁当持参で参加しました。

昨年5月の収録でしたので、最初の日本医師会長挨拶は横倉義武先生でした。今となっては懐かしく感じました。
「日医かかりつけ医機能研修制度」は3年を1区切りとしています。2019年度は第2期の初年度で「基本研修」でした。2019/8/26のブログで報告しましたように私はこの「基本研修」に参加しました。そのときの参加者は100人ほどでした。2年目の2020年度研修は「応用研修」でしたが、上述のように延期され今回の開催となりました。参加者は私を含め16人でした。

内容は、臨床倫理、小児・思春期診療、在宅医療、ノンテクニカルスキル(コミュニケーション)、認知症、ポリファーマシー、在宅リハビリについてでした。
いずれも大変勉強になりました。とくに勉強になったのは小児・思春期診療です。小児科の勉強は埼玉県医師会小児救急医療研修会以来久しぶりでした(2019/11/19ブログ参照)。

演者の内海裕美先生は小児科医として40年、開業して20年とのこと。小児診療の心構え、新生児から中学・高校生までの広い守備範囲、親への接し方、発疹・アレルギー・腹痛・便秘・無呼吸症候群・心身症など個々の病態へのアドバイス、不登校・虐待・自傷行為・性の問題・ネット依存症・摂食障害への対応、ワクチン接種のあり方、小児用薬剤の使い方、漢方の処方などを教えてくださいました。まとめとして、エリクソンの乳児期から老年期に至る心理社会的発達段階、すなわち、誕生時の共生期から分化期へ、その後、練習期→再接近期→個体化の確立を経て最終的には母親イメージを内化するという「分離個体化のプロセス」を紹介されました。小児科の奥の深さを知りました。また、我が子育てを振り返り、身につまされる思いがしました。

稲葉一人先生の「倫理」の講義では、職種によって、とくに医師と看護師とは倫理の問題の見え方が異なる視点を学びました。「在宅医療」の大橋博樹先生は、「まずは昼休みの訪問診療」から在宅診療に関わることを勧めていました。前野哲博先生の「ノンテクニカルスキル(コミュニケーション)」では、教育の進め方(指導者は説明しながらやって見せる、学習者には説明させながらやらせてみる)が示されていました。栗田主一先生の「認知症」は「認知症について深い理解をもち、本人・家族の不安をサポートする」重要性を強調していました。「ポリファーマシー」の小島太郎先生は、「減薬は容易ではないが、高齢患者の健康維持には有用である」ことを強く主張されていました。「在宅リハビリ」の齊藤正身先生は「ADLや家事・趣味活動などのIADLの向上割合は通所リハビリよりも高い」ことを明らかにされました。

オンライン聴講だとこれほどの満足感はなかったと思います。何よりも万歩計は6071歩と、いつもの日曜日の3倍、平日の病院勤めの1.5倍を記録しました。夕食のワインが美味しかったのは言うまでもありません。