無観客の・・・

新型コロナウイルスの影響で無観客の大相撲が先週から始まっています。このテレビ中継には違和感があります。寄り切り、あるいは上手投げで勝負があっても歓声は一切なく、アナウンサーの叫ぶ声が聞こえるばかりです。妙に「あっさり」しています。
しかし、取組が何番か過ぎるころ、呼び出しの声、行事の名乗りが静寂の中で語尾まではっきり聞こえて来るのに気づきます。汗をかいた力士同士の衝撃音が生ではっきり聞こえてきます。土俵で塩を大きく捲く姿、四股をゆっくり踏む姿は、今まで知らなかった世界を見せてくれます。これは神事だと気づきました。

無観客の勝負は、プロ野球オープン戦、水泳選手権、競馬などで行われています。音楽などの文化活動も無観客が定着しつつあります。観客のいない中でのライブです。ライブのネット配信は多くの「観客」を集めることができるとのこと。世の中の変化に対応する1つの方向性なのでしょうか。

私の関係するすべての学会、研究会、講演会が中止ないし延期となりました。ライブ配信もないので、中止はまさに中止です。寂しい限りです。アーティストのような「粘り」がないのかと嘆きます。
これだけは多分開かれるだろうと思っていたのが、県医師会主催の「新型インフルエンザ講演会」(3月19日)でした。流行しているのはインフルエンザではなく新型コロナですが、新型ウイルス感染症としては同じ範疇です。まさに時宜を得た講演会です。これだけは中止しないで欲しいと願っていました。実際、他の講演会が早々に次々中止となっても、新型インフルエンザ講演会中止の案内は来ませんでした。久しぶりの講演会になると楽しみにしていました。

しかし、3月11日付で遂に「至急のお知らせ」が届きました。残念ですがやむを得ません。
案内文の最後に「無観客形式となりましたので出席はご遠慮ください」とありました。
無観客形式の講演会・・・。
どこかのスタジオでビデオに撮るということではなさそうです。あの広い会場で講演が行われる、しかし、聴講者はいない。

講演を頼まれることは私にもあります。直近では、小学校でのがんの授業でした(2020.1.30、2020.2.27のブログ参照)。小学生の反応を感じながら修正を加えて行きました。聞いてくれる聴衆がいてこそ講演は臨機応変に変わります。変えられます。観客がいなければ冗談も言えません。
かつて某保険会社に頼まれて社員向けのがん教育の講演をスタジオで録画したことがあります。すべてシナリオ通りでした。原稿を読み上げるだけでした。虚しい訳では決してありませんが、これならアナウンサーに読んでもらえば済むのに、と思ったものでした。聴衆のいない広い会場での「無観客の講演」は演者にとって気が重いと思います。それにめげず訴えて欲しいと願っています。

先のお知らせの最後に「後日、資料をお届けする予定です。」とありました。
ビデオとして配信される(DVDが送られてくる)ものと思っています。そうでなければ「無観客形式」の意味がありません。
資料が届いたら、内容を皆様にお知らせします。