親戚の造形作家が富山県入善町の発電所美術館で個展を開いていることをお知らせしました(10月16日)。台風19号で北陸新幹線の車両基地が水没した影響を受けてオープニングに出席できず、「真冬にでも行くか」と開き直ってしまいました。
でも、と思いました。そういえば、自分はよく言っていたよな、「人生、何が起こるか分からない。やりたいときにやる」と。
これを思い出し、考え直しました。

11/3-4の連休を利用して発電所美術館に行くことにしました。問題は北陸新幹線の切符の予約でした。あれこれ算段して通常ダイヤの8割を確保したとはいえ、指定席の予約は困難を極めました。往きは確保できたものの、翌日の帰りは変則になりました。昼間の時間帯では取れず、黒部宇奈月温泉駅発の上りは夕方5時台以降となりました。しかも長野までで、長野から改めて大宮まで別の予約を必要としました。
それでも行きました。
現地の足はレンタカーにしました。

まず芸術との触れ合い。発電所美術館は、水力発電用の太い導管が輪切りになって展示室の壁を構成していました。重厚かつ静謐な冷気の中に作品は佇んでいました。作者はあいにく不在でした。その分、静かに鑑賞できました。「In the darkness」は期待以上でした。写真撮影は原則禁止ですが、1箇所だけ撮影が許されていました。そこから撮ったのをお示しします。が、所詮は写真。実物とはかなり違います。写真ほど明るくはないのです。言葉で表せばこうです。暗闇の中のわずかな光に浮かび上がる幽玄の世界。人の動きなのか、計算された微風なのか、1万本の細い糸が微妙に揺れます。数mmの振れ幅です。糸の途中には細かな細工が施され、下から見上げると無数の星が闇に漂います。説明によれば、作家が初めてこの美術館に足を踏み入れたときにひらめいた作品とのこと。したがって、この美術館のためだけの作品だということになります。

宇奈月温泉に泊まった次の日、雄大な自然に巡り会いました。黒部峡谷のトロッコ列車に乗って欅平に向かいました。紅よりは黄が中心の秋の山の彩りを楽しみました。黒部川の水は、淡青もあれば群青もありました。この上流に黒部ダムと黒部第4発電所(黒四、くろよん)がありますが、このルートからは行けません。険しい峰々の奥に透視してみました。

宇奈月温泉に戻ると、時間が余っていました。
思いついたのが宇宙の旅。東京大学宇宙線研究所がある岐阜県飛騨市神岡に足を伸ばすことにしました。スーパーカミオカンデを訪問したかったのです。しかし一般の人は入れません。体験展示をしているカミオカラボ(ひだ宇宙科学館)を目的地としました。車で90分。バーチャルリアリティでスーパーカミオカンデの内部に入れただけで満足しました。茨城県東海村のJ-PARC(ジェイパーク、大強度陽子加速器施設) から発射されたニュートリノをスーパーカミオカンデで捕捉する壮大な実験が進行中でした。捕捉したときに発する微光を感知するのが浜松ホトニクス社製の光電子増倍管。スーパーカミオカンデには1万個設置されているとのことです。人の顔の大きさもある実物を間近に見られたのも収穫でした。

In the darknessにしても、黒四にしても、カミオカンデにしても、閃いたアイデアを実現させる人間の英知に圧倒されました。宇宙の中で育まれる人と自然との共生にも思いを巡らせました。
いい旅でした。