親戚に造形作家がいます。富山県入善町の発電所美術館で個展を開くとの知らせが彼から先月届きました。煌めく壮大かつ個性的なインスタレーション。心が踊りました。開催初日に家内と二人でお祝いを兼ねて見に行くことにしました。
オープニングは10月19日(土)。病院の仕事を昼に終えて出発。北陸新幹線・黒部宇奈月温泉駅で下車。そこからタクシーで発電所美術館へ初めての訪れ。彼との久しぶりの再会。作品との邂逅。その夜は宇奈月温泉に宿泊。翌20日(日)、黒部峡谷トロッコ電車で終点の欅平に到着。紅葉を楽しみ、夜に帰宅。そんな計画を立てました。
芸術と自然に触れる久しぶりの温泉旅行です。ホテルを予約し、新幹線の往復切符を2人分購入しました。
先週末、台風19号は、甚大な被害を全国にもたらしました。北陸新幹線は台風到来前に計画運休をしていました。晴れれば、数日以内にダイヤは通常に戻るはずでした。
13日昼過ぎ、北陸新幹線の車両センター(長野新幹線車両センター)浸水の一報を耳にしました。千曲川の氾濫により北陸新幹線全車両の1/3(10編成、120輌)が浸水したとのこと。テレビのコメンテータによると、いったん浸水した車両は廃車にするほかない。したがって、北陸新幹線の再開は当分見込めない。通常運行には相当の期間を要する。このコメントを聞いてすぐに、ホテルの解約、新幹線切符の払い戻しを行いました。みどりの窓口は混雑していて新幹線の払い戻しに1時間かかりました。
別のコメンテータによれば、この新幹線車両センターはもともとハザードマップの浸水地域に建設されたとのこと。これを聞いて驚き、長野市のハザードマップを急いで見てみました。その通りでした。浸水の深さは、想定最大規模降雨のときの洪水で10-20mという最悪レベル、しかも一部は氾濫流による家屋倒壊の地域に入っていました。コメンテータの指摘のように、なぜここに中核の新幹線車両センターを作ったのか、ハザードマップの最悪地域に建設したなら防災措置をなぜ取らなかったのか。後からは何とでも言えるとはいえ、危機管理が希薄だったという指摘は当たっているように思えます。
今回の北陸新幹線の惨状は、鉄道関係者だけでなく、すべての組織責任者に大きな教訓を残したと言えます。病院運営に当たる者も我がごととして考えないといけないと思いました。
個展は来春までとのこと。真冬に行ってみるか。

図.長野市のハザードマップから。白矢印:長野新幹線車両センター。黒矢印:長野県立総合リハビリテーションセンター(想定最大規模降雨の洪水で5-10mの浸水の深さ。今回の水害で床上浸水のために孤立した)。