高齢者雇用

一昨日(2022/12/14)の日本経済新聞朝刊に「令和4年度 高年齢活躍企業コンテスト 表彰企業のご紹介」という全面広告が載っていました。紙面下端に「主催 厚生労働省 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」とあります。広告主は厚生労働省と同省所管の公的機関と考えてよいようです。
少子高齢化が進む我が国の労働力を考えるとき、高齢者を活用しない手はありません。私は70歳をとうに過ぎても働くことができていますが、同輩には無念の思いをしている人が少なくありません。

審査委員会座長である藤村博之氏(法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科教授)の総評を紹介します(図左)。
「70歳までの就業機会確保が求められているなかで、意欲的に取組みを行う企業が多く、例年になくレベルの高いコンテストとなりました。年齢の上限なく雇用を継続する企業や、再雇用後も処遇を落とさない企業のほか、ICT化の推進により高齢者の負担を軽減するとともに、それにより生まれた余裕を別の業務で活用するなど、いまの時代ならではの取組みもみられます。ぜひ、こうした取組みを参考にしていただき、高齢者が働きやすい職場づくりに取り組んでいただきたいと思います」。

病院の雇用もそうだろうと思います。もちろん、長年の激務のあとはゆっくりしたいという希望があればそうさせてあげるべきです。一方で、年齢に関係なく病院で働きたいという医療者も少なくありません。60歳定年、再雇用は給与ダウン、などとせず、豊富な知識と経験を活かしてもらいたいと思います。もっとも老害にならない注意とチェック体制は必要でしょう。私自身、組織の上に立つのはそろそろ終わりにします。昔のように下積みに徹したいと思っています。

今年度の最優秀賞・厚生労働大臣表彰は岐阜県恵那市の「恵那川上屋」でした(図右)。創業は1964(昭和39)年、従業員数は318名、定年は65歳とのこと。希望者全員を70歳まで再雇用し、その後は一定条件のもと年齢の上限なく再雇用しています。

実は、この新聞広告に注目したのは、高齢者雇用のことだけではありません。川上屋の名前があったからです。
私の父は岐阜県苗木村(現 中津川市)の出身です(2019/9/12ブログ参照)。苗木小学校と恵那中学校(旧制)を卒業しています。かの地の銘菓として父はよく栗きんとんを話題にしていました。父の死後、父の故郷を巡るドライブでは、街道沿いのお店に寄って私も味わいました。
中津川には栗きんとんの老舗が2つあります。ひとつは元禄年間創業の「すや」、もうひとつは元治年間創業の「川上屋」です。今回受賞の「恵那川上屋」は「川上屋」から分かれ、昭和の時代に恵那で創業したとのことです。
記事を読みながら、恵那山・木曽川の風景とともに、栗きんとんの素朴な味を思い出しました。高齢者雇用の話題と妙に合っているなと思いました。