検査値の見方(臨床検査科 鈴木和義)

検査科として当院では初めてとなる医療講演を2025年7月31日に行いました。

タイトルは「甘く見ないで~検査値のミカタ~」です。血液検査は病院受診時や検診で行いますが、それらの数値がどのようなものなのかを説明させていただきました。一般の方向けにお話しさせて頂きましたが、少々難しい印象を持たれた方もおられたことと思います。講演内容の一部を掲載させて頂きます。

Ⅰ.検査の目的

①診断をつける:病気のあり、なしを区別する

②治療効果の指標

③ルーチン検査(基本的検査):体の状態を把握する(外来、入院時)

④早期診断(健康診断):自覚症状がない段階で、疾患やリスクを発見する

   1.診断をつける

    ・病気のあり、なしを区別する目的で検査を行う。

      発熱

        ↓

     検査(例)CRP ➡ 正常 ➡ 疾患なし

                ➡ 異常 ➡ 疾患あり

Ⅱ.各検査項目について

検査項目の意味、基準値や異常値、数値が増減する要因などを記載します。
なお、検査ごとの基準値(正常値)は下段に一覧表で添付します。

①血算:貧血

ヘモグロビン(Hb)

酸素と結合して、全身に供給する働きがある。
男女ともに10g/dl以下になると、息切れやめまいが現れてきます。

白血球数(WBC)

白血球は、ウイルスや細菌などの異物を撃退します。
基準値より高いと炎症性の疾患や心筋梗塞などが疑われます

血小板数(PLT)

血小板には、血液を凝固させて出血を止める働きがあります。
血小板数が減ると出血が止まりにくくなります。
3万以下になると、致命的な出血を起こす危険性があります。

②血糖値とHbA1c(ヘモグロビンA1C)

血糖値

血液中に含まれるブドウ糖の量です。
基準値を上回る場合には、糖尿病のほか、膵炎や甲状腺機能亢進症などの
病気などが疑われます。

HbA1c

血球のヘモグロビンAと血液中のブドウ糖が結合したものです。
約120日間血液中に存在するため、1〜2ヶ月間の血糖の状態が推測できます。

③肝機能

AST(GOT)

肝臓に多い酵素です。
肝細胞の破壊で血液中に漏れ出すことから、基準値を超える場合は、肝臓病
が疑われます。ASTは心臓や筋肉などにも多く含まれており、これらの部位
の病気でも上昇しますので注意が必要です。

ALT(GPT)

ほとんどが肝臓に存在するため、数値が高い場合は、「肝臓に異常
がある」と見当がつきます。

γ-GTP(ガンマ―GTP)

肝疾患や胆道疾患(胆石、胆嚢炎、胆管炎)で上昇します。γ-GTPだけが
基準値を上回っている場合は、アルコールの飲み過ぎが考えられます

④腎機能

尿素窒素(BUN)

蛋白質が分解されてできるものです。腎機能が低下すると、血液中の尿素
窒素をうまく濾過することができないため高くなります

クレアチニン(Cre)

筋肉にあるクレアチンという物質から産生されます。基準値を上回る場合
は、慢性腎炎や腎不全の疑いがあります。腎機能が低下するにつれて、クレ
アチニンは増加し、高度の場合は透析療法が必要になることもあります。

⑤脂質:コレステロールと中性脂肪

総コレステロール(T-Cho)

動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や脳梗塞などを起こす危険性があります。
110mg/dl以下と低い場合は、貧血、栄養不良、甲状腺機能亢進症、肝臓病
などの疑いがあります。

HDLコレステロール(HDL-C)

血液中の余分なコレステロールを回収して肝臓に運び戻します。
動脈硬化を防ぐことから、善玉コレステロールと呼ばれています。

LDLコレステロール(LDL-C)

悪玉コレステロールとよばれ、動脈硬化を促進します。基準値より高いと虚
血性心疾患、脳梗塞、糖尿病などが起こりやすくなります。コレステロール
を多く含む食品のとり過ぎで上昇します。

中性脂肪

中性脂肪はエネルギーとして利用され、余った分は、皮下脂肪や内蔵脂肪と
して蓄えられます。基準値より高いと、動脈硬化や脂肪肝などの原因になり
ます。食後の検査では数値が高くなります。

⑥炎症反応

CRP

体内で炎症が起こると血液中のCRPは、6〜8時間以内に急増します。
軽度の場合は、慢性の感染症やウイルス感染症などが疑われ、重度の場合は、
急性感染症、心筋梗塞、敗血症などが考えられます。

⑦腫瘍マーカー

腫瘍(がん)の診断や治療効果の判定に用います。がんの種類によって検査項目は異なります。

(付表)検査結果の基準値一覧

検査項目 基準値 単位
赤血球数 380〜480(女性) /μL
410〜530(男性) /μL
ヘモグロビン 12〜16(女性) g/dL
14〜18(男性) g/dL
白血球数 4000〜9000 L
血小板数 15〜40 /μL
総コレステロール 120〜220 mg/dL
HDLコレステロール 40〜70 mg/dL
LDLコレステロール 70〜139 mg/dL
中性脂肪 50〜149 mg/dL
血糖 70〜110 mg/dL
HbA1c 4.6〜6.2 %
尿酸 4.0〜7.0 mg/dL
尿素窒素 8〜20 mg/dL
クレアチニン 0.7〜1.3 mg/dL
AST 10〜34 U/L
ALT 5〜46 U/L
γ-GTP 8〜61 U/L
ALP 38〜113 U/L
総ビリルビン 0.3〜1.2 mg/dL
総タンパク 6.5〜8.1 g/dL
アルブミン 4.1〜5.1 g/dL
CRP 0〜0.3 mg/dL
CEA 0〜5 ng/mL
CA19-9 0〜37 U/mL
PSA 0〜4 ng/mL

 おわりに

・健康診断や病院での定期的検査は、病気の早期発見につながります。検査結果はできれば前年の結果とも比較してくだい。もし異常値があればかかりつけ医や病院を受診してください。

・検査結果は、何らかの病気によって数値が高い(低い)場合もありますが、食事や生活習慣などによっても変化します。

 2025/10/7  臨床検査科 鈴木和義