日本臨床腫瘍学会学術集会 リアルワールドデータ研究成果など 徳洲会グループは計14演題を発表
第23回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2026)が「Medical Oncologists for Cancer Patients」(がん患者さんのための腫瘍内科医)をテーマに横浜市で開催された。徳洲会は、グループのスケールメリットによる膨大な臨床データを活用した徳洲会リアルワールドデータ(TREAD)研究の成果など、14演題を発表した。

会長企画シンポジウムに登壇し口演する福岡参与がん薬物療法専門医試験の合格体験談を発表する黒崎医師徳洲会リアルワールドデータ研究の成果を発表する下山副院長
徳洲会グループは会長企画シンポジウム(口演)2演題、ミニオーラル(口演)4演題、ポスター8演題を発表。口演の概要を紹介する。
「<新専門医制度承認記念企画>がん薬物療法専門医-現状と未来」をテーマとする会長企画シンポジウムに登壇したのは、和泉市立総合医療センター(大阪府)の福岡正博・腫瘍内科参与。同シンポジウムは、日本専門医機構が2025年に「がん薬物療法」領域をサブスペシャルティ領域(基本領域の専門医取得後に取れる一段と専門性の高い専門医資格)として承認したことを受けて企画された。
福岡参与は03年から07年に日本臨床腫瘍学会専門医制度委員会の初代委員長を務めた。「専門医制度設立時の背景と理念」と題し、制度の変遷や取得条件、カリキュラムなどを紹介。そのうえで「急速に進歩するがん薬物療法に関して、専門医や腫瘍内科の充実が急務です」などと訴えた。
「がん薬物療法専門医試験:合格者と審査委員が語るコツ~常在戦場、私には私の勝ち方がある~」をテーマとする会長企画シンポジウムには、同センターの黒崎隆・腫瘍内

科医師が登壇。「がん薬物療法専門医試験合格体験談(CBT試験)」と題して口演した。
黒崎医師は22年に内科専門医、25年にがん薬物療法専門医を取得した。実体験をもとに試験対策や教材、ノートづくりのノウハウなどを披露。
「基本的にはスキマ時間を活用しました。治療方針が変わるターニングポイントを押さえることや、標準治療の成り立ちをpivotal試験(新薬の製造販売承認申請のため有効性や安全性を証明するための試験)のデータからストーリーとして整理することを意識して勉強しました」と発表した。
黒崎医師は呼吸器のミニオーラルでも「ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌における免疫関連遺伝子発現プロファイルとその臨床的意義」をテーマに口演。
乳腺に関するミニオーラルでは、さいたま記念病院の下山ライ副院長が「ポストコロナを含む乳癌の診断・治療におけるCOVID-19の影響 徳洲会リアルワールドデータ研究(TREAD)10」をテーマに口演。これまでの研究で胃がん診療への影響を検討し、生存率の低下を明らかにした。乳がんでも同様の影響があるかを調べた。17年1月~23年12月までに乳がんと診断された約1万3,500人を対象に解析した。
「20年のコロナ禍当初、一時的に早期乳がんの診断数が減少しましたが、その後、急激な勢いで診断数は回復しました。生存率への影響は見られませんでした。一方で、トリプルネガティブ乳がん(乳がんの増殖に関係する3つのタンパク質をすべてもたない特殊な乳がん)に関しては、統計的に有意ではないものの、予後不良を示す傾向が示唆されました」とまとめた。
また下山副院長は消化器のミニオーラルでも「転移性消化管癌における主要心血管イベント(MACE)発症における予後因子の解析:徳洲会リアルワールドデータ・プロジェクト(TREAD)
07」と題して口演。約4,200人の転移性消化器がん患者さんを解析し、MACEの新規発症のリスク要因として、年齢、胃がん、糖尿病、高血圧、慢性腎不全、心房細動/粗動

、低アルブミン血症を特定した。「これらの知見を他のがん種でも検証し、MACEのリスク評価の精緻化のため、さらなる研究が必要です」と結んだ。
同じセッションで、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の和田啓太郎・腫瘍内科医師が「GISTにおけるc-kit遺伝子変異部位によるピミテスピブ(Pimites-pib)の治療効果」をテーマに口演。GISTは消化管間質腫瘍を指し、主にc-kit遺伝子変異によって引き起こされる。TKI(チロシンキナーゼ阻害剤)抵抗性の進行GISTに対して、ピミテスピブは後次(2次以降)治療として用いられているが、有効性に関するデータが限られていることから、治療の有効性と遺伝子変異との相関を検討した。「ピミテスピブは、エクソン9変異を有するGISTに対して有効性を示す可能性がある一方で、エクソン11、13、または17に変異を有するGISTには顕著な有効性は認められませんでした。症例数が少ないため、さらなる調査が必要と考えます」と締めくくった。